螺鈿細工の個別認証を用いた
漆器のトレーサビリティ手法の提案


【内容】

伝統工芸品は,原材料,技術,技法が継承されており,ほとんどの工程が手作業で精巧に製作されているため,日常の生活用品に比べて製作時間やコストがかかる.漆を木の表面に塗り重ねてく伝統工芸品は漆器といい,日常生活で使用されている.漆器には蒔絵や螺鈿(らでん)などの加飾技法がある.それらの漆器を購入する消費者は,品質,信頼,安全性を担保されているか知りたい.そのため,消費者は構成部材や生産者の情報を知るトレーサビリティを望んでいる.従来のトレーサビリティは,製造番号を記載したタグを用いている.しかしこの手法では,伝統工芸の場合問題がある.

  • 伝統工芸品とタグが一体になっていないため紛失する可能性
  • 明示的にタグを伝統工芸品に貼り付けた際,デザインを傷つける恐れがある

本研究ではこれらの問題を解決するために,漆器表面に螺鈿をする製品を対にし,タグを明示させながら,人工物メトリクス認証する手法を提案する.我々の提案は,明示されたタグと製品が一体化しているため,検出に時間がかからず,従来よりも伝統工芸品の管理の向上が望める.タグは,螺鈿の材料を用いて表現する.そのため,明示的なものにしたとしても,頭角した表現にならないことから,デザインを大きく影響しない.螺鈿には,螺鈿細工と呼ばれる,鮑貝の真珠層部分を薄くしたものを用いる.螺鈿細工は,構造色を保有しており,各螺鈿細工で異なる発色をしている.そのため,さまざまな環境下でも螺鈿細工の再現性のある画像的特徴を取得できるように,撮影環境を整備した.また画像的特徴を抽出するために,2Dフーリエ変換から位相情報を用いて,量子化を行う.私たちは提案アルゴリズムを実装し,螺鈿細工の個体識別が可能であることを調査する.

螺鈿細工(鮑貝の真珠層部分を薄くしたもの)
撮影環境
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【共同】